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糖尿病療養指導コース 第1回
糖尿病ってなあに?

[2021.10.11]
糖尿病とは

膵臓のβ細胞から分泌される「インスリン」というホルモンの量が不足しているか、働きが悪くなることにより、血液中のブドウ糖(血糖)が多い状態が長く続く病気です。

食事によって血糖が上がると、β細胞から血糖を下げる「インスリン」というホルモンが分泌され細胞で正しく作用する(臓器は血糖を取り込んでエネルギーとして利用したり、蓄えたり、さらに蛋白質の合成や増殖を促したりする)ことで、血糖値が一定に保たれます。しかし、糖尿病患者さんは「インスリン」が少なすぎたり、作られなくなったり、その働きが悪くなったりします。そのため、血糖値が異常に高くなり、それが原因で身体の様々なところに障害が起きてきます。

 

糖尿病治療の目的

高血糖に伴う急性合併症、特に昏睡を含む諸合併症を予防するとともに、慢性合併症である、網膜症・神経症・動脈硬化症の発症を予防し治療する事にあります。残念ながら「治る」とは定義されていません。

 

糖尿病診断基準
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) 6.5%以上 ・・・ 1~2か月の血糖値の平均値
早朝空腹時血糖値 126mg/dl以上 ・・・ 血管の中のブドウ糖の量
食後血糖値 200mg/dl以上

※補足 糖尿病の診断基準に達せず、かつ血糖値が正常でない場合を境界型(糖尿病予備軍)といいます。

 

糖尿病に起こる症状

糖尿病は初期の段階では自覚症状はほとんどありません。
しかし、高血糖になると、「のどが渇く・多尿・だるさ・体重減少・手足の攣り」などが起こります。

 

糖尿病の種類

①1型糖尿病

自分の体内でインスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されて、インスリンが分泌されなくなるタイプのもの。インスリン注射が絶対的に必要となります。
日本人の糖尿病患者の5%程度といわれています。

 

②2型糖尿病

自分の体内で作るインスリンの分泌が低下している(インスリン分泌能の低下)もののゼロではなく、いくらかは分泌されているもの。
インスリンの働きが悪い(インスリン抵抗性が高い)状態もあります。
日本人の90%以上がこのタイプでいわゆる生活習慣病はこのタイプです。

 

③その他の糖尿病

遺伝子異常によるもの、膵臓疾患、内分泌疾患、薬剤や化学物質などによって発症するものです。

 

④妊娠糖尿病

妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない状態です。出産後に改善されることもありますが、生活習慣や肥満により2型糖尿病を発症するリスクは高いです。

 

合併症

急性合併症

低血糖 (70mg/dl未満で発症)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 は : はらがへる
 ひ : 冷や汗
 ふ : ふるえ(手指振戦
 へ : 変な行動(異常行動)
 ほ : ほっておくと昏睡・放置は昏睡                                                         

血糖値一桁まで低下すると救命率は0%

 

3大合併症(慢性合併症)

 

 は : はらがへる
 し : 糖尿病神経症
 め : 糖尿病網膜症 (罹患20年80%有病)                                     
 じ : 糖尿病腎症  (罹患20年20%有病)                                                   

 

 え : 壊疽
 の : 脳疾患(脳梗塞)                                     
 き : 虚血性心疾患(心筋梗塞)                                                  

 

糖尿病治療の3本柱

 

  1. 食事療法
    すべての糖尿病治療の基本です。
    2型糖尿病の場合、70%以上の方がコントロール可能 
  2. 運動療法
    食事療法と共に重要な治療法。エネルギーの消費により肥満解消
    毎日続けられる運動=歩く事
  3. 薬物療法
    内服療法・自己注射療法(インスリン注射)
    (食事療法・運動療法だけでは困難な場合)

 

血糖コントロール状態評価

HbA1c 血糖正常化を目指す際の目標 ・・・・ 6.0%未満
(適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、
または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合の目標とする)

合併症予防のための目標 ・・・・ 7.0%未満
(合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満とする。対応する血糖値としては、
空腹時血糖値130mg/dl未満、食後2時間血糖値180mg/dl未満をおおよその目安とする。)

治療強化が困難な際の目標 ・・・・ 8.0.%未満
(低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標とする80歳以上の高齢者)

尿糖出現 160-180mg/dl (血糖値に換算した場合)

 

糖尿病と向き合うには・・

1)食後高血糖に注意

健康診断では、空腹時での採血の為血糖値は低くても、食後に測定すると高くなる人がいます。これを食後高血糖といいます。いわゆる「予備軍」「境界型」の人に多いです。
食後高血糖は動脈硬化のリスクをいわれ、また、がんや認知症の発症リスクともいわれています。

食後高血糖を予防するために、次の事を心がけましょう。                                     
  1. 野菜をはじめに食べる
    食物繊維を先に食べる事で、食事の吸収スピードを遅らせることができ、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
  2. ゆっくり、よく噛んで食べる
    食物繊維と同じように、ゆっくり噛んで食べることで、食事の吸収を遅らせることは大変効果的です。
  3. 食後に歩行などの軽い運動をする
    血液中のブドウ糖を速やかにエネルギーとして使用することで、食後の血糖上昇を抑えることができます。
  4. 3食食べる
    朝食を抜くことは、かえって昼食や夕食後の血糖値の上昇を招きます。3食均等に。

 

2)肥満を防ぐ

体内脂肪は、インスリンの効きを悪くすることから、肥満は大敵です。
次の事に注意してください。

  1. 食後高血糖を防ぐ食事と同様、野菜から、ゆっくり食べる
  2. 甘い物、脂ものは控える
  3. 大皿料理を避け、1人分ずつ、取り分けて食べる
  4. 薄味にする・・・濃い味のおかずは、ご飯がすすみます
  5. 食品のエネルギーを知る・・・カロリー表示をみる習慣をつけましょう

 

3)運動療法のポイント

  1. 運動の種類・・・全身を使った有酸素運動(ウォーキング・水泳)
  2. 運動の強さ・・・軽く息がはずむ程度で、脈拍110-120回/分を目安に。
  3. 運動量・・・1日30分程度で、週3-5日、1週間に150分目安に。
  4. 基礎代謝を上げる事を目的に、筋力アップも必要となります。
    週2回程度、腹筋、腕立てスクワットなどが効果的です。
  5. 血糖値が上がりやすい食後1時間程度の運動が効果的といわれています。

 

4)日頃から体を動かす習慣を作る

  1. 外出時、少し早足で歩く
  2. 遠回りして歩く距離を増やす
  3. 買い物は歩いて、買いだめをしない
  4. 3階までなら階段を使う
  5. 歩数計を持つ:1日1万歩を目標に歩く
  6. 周囲の風景を楽しみ、観察しながら歩く
  7. テレビを見ながら、ストレッチする
  8. 泳げなくても、水中を歩く

2015.11 東急病院ニュースより引用

 

 

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