糖尿病療養指導コース 第3回
運動療法
なぜ運動が必要なのですか?
運動するためには、エネルギーが必要です。筋肉を働かせるための燃料として、血液中のブドウ糖が必要となります。運動すると、血液中の余ったブドウ糖が筋肉の細胞内に取り込まれ、結果、血糖値が下がります。
どんな目的がありますか?
痩せること以上に、食後の運動によって即効的に食後の高血糖を抑える効果や、運動の継続によって、インスリンの働きを良くすることが重要な目的となります。
どんな効果がありますか?
▶ カロリーを消費
▶ インスリン抵抗性の改善
→ 筋肉や脂肪におけるインスリンの効きが良くなります。
▶ コレステロール値の改善
→ 善玉(HDL)コレステロールが増えます。
▶ 高血圧、脂質代謝異常の改善
▶ 心肺機能の改善
▶ 運動能力の向上
▶ 運動後の爽快感
どのような運動をどれくらい?
▶ 運動の効果は、48時間程度持続する→週に3~5日以上が望ましいです。
▶ 食後に行う(インスリン注射、内服している方は、低血糖の恐れがあるので必ず食後に行ってください。)
▶ 20分以上/回が望ましい
→ 150分/週以上でも良いです。
▶ 10000歩/日
→ 160~300Kcalを消費する計算になります。 ※ケーキ1個は、200Kcal
▶ 運動中は、苦痛がなく、おしゃべりができ、少し汗が出る程度の運動量が理想です。
どんな運動があるの?
有酸素運動
ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの全身運動
ウオーキングのコツ |
継続しやすいのでオススメ!
無酸素運動(レジスタンス運動)
腕立て伏せ、ダンベル体操など
運動によるエネルギ―消費は、主に筋肉で行われるので、筋肉を増やす為のトレーニングも大事
どんな服装でやればよいの?
- 気温や天候など、環境に合わせ、運動に適した衣類を選びましょう。
- 自分の足にあった靴を履きましょう
→ つま先に余裕あり、動いた時にかかとがずれない、かかと、靴底は薄い、
かかとから土踏まず付近までぴったりしているもの
注意する事は?
▶ インスリン注射、内服中の方は、低血糖症状に注意。
→ ブドウ糖を常に携帯しましょう。
▶ 運動前には、ウォーミングアップをしましょう。
▶ 運動中、後には、水かお茶で水分補給しましょう。
もし、真夏や、大量の汗をかいた場合には、塩分や電化質の補給が好ましく、スポーツドリンクなどが手軽に利用できます。
しかし、糖分が多く含まれているので、原材料、カロリーを確認しましょう。
▶ 激しすぎる運動は、関節を痛める、合併症が進む、
心臓の発作などが起きる可能性があるので医師に確認してください。
▶ 体調が悪いと感じたり、天候が良くない時などは、無理せずに運動を中止、延期しましょう。
長続きのためのコツは?
▶ いつでも、どこでも、無理なく続けられる、運動を選びましょう。
▶ 記録をつけましょう。
▶ 歩数計を使いましょう。
▶ 仲間を作りましょう。
▶ 日常生活の中に取り組んでみましょう。
▶ 複数のコースを持ちましょう。
努力は報われます!毎日無理なくできる運動を見つけましょう。
雨の日、冬は・・・?
家の中でもできるダンベル体操や椅子を使って腕振り、足踏みなどの有酸素運動ができます。
お年寄りの方へ
加齢とともに、体力面の個人差が出てきます。
ご自分の体力に合わせて怪我のないように注意してください。
制限のある人
▶ 血糖値が高く、コントロールが不良な人(空腹時血糖が250mg/dl以上)
▶ 増殖性網膜症を患っている人(眼底出血を起こしやすい)
▶ 進行した糖尿病性腎症(腎不全)を患っている人
▶ 心筋梗塞や、狭心症などの心臓病を持っている人
▶ 血圧が高い人(180mmhg以上)
▶ 重い神経障害(足や手にしびれ)がある人
▶ 足に壊疽がある人 ※ご不明な場合は、スタッフにお尋ねください。
1日のうち目標運動量は平均150キロカロリー
食事療法と同様、運動療法も継続してこその効果が上がります。
どちらかがおろそかになっても治療が難しくなります。
カロリーを消費するからと言って食べ過ぎないようにしましょう。
日常生活でなるべく歩くことを習慣化することが大切です
「忙しい」「時間がない」「続けられない」と、毎日運動することができない場合は、以下を参照してみて下さい。
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