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糖を尿に捨てる!全く新しい発想の薬 (SGLT2阻害薬)

[2021.10.11]

糖尿病のお薬で療において、次に注目されている薬の1つがSGLT2阻害薬です。
これは尿に糖を積極的に捨てることで、血糖値を減少させようとするものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SGLT2に関するQ&A

 

Q.SGLT2とは何ですか?

A.
SGLTとは、Sodium-glucose transporterの略で、ナトリウム・グルコース共役輸送体とも呼ばれています。
腎臓にある糸球体というところで血液がろ過され原尿というお小水の元が作られます。
もちろんこの中には血液とほぼ同じ濃度のブドウ糖を含みます。
しかし本来、貴重なエネルギーであるブドウ糖を捨てることはしません。
そのため近位尿細管というところでほとんどのブドウ糖が再度、吸収されます。
その仕事をしているのがSGLT2という部分です。

 

Q.なぜ、血糖値が下がるのですか?

A.
SGLT2阻害薬を使用することで、ブドウ糖を吸収するSGLT2の働きを阻害(邪魔)します。
そのためブドウ糖が体内に再度吸収されることなくお小水と一緒に排泄され、 結果として体内の血糖値が低下します。

 

Q.どんなお薬が開発されているのですか?

A.現在、フェイズⅢという臨床試験に到達したものだけで6剤あります。
下記に、化学化合物名と開発・販売予定製薬会社名を記載します。
イプラグリフロジン:アステラス製薬
ルセオグリフロジン:大正製薬
カナグリフロジン:田辺三菱製薬
トホグリフロジン:サノフィ、中外製薬、興和
エンパグリフロジン:ベーリンガー
ダパグリフロジン:アストラゼネカ

 

Q.どのくらいHbA1cが低下しますか?

A.それぞれのお薬に対し、用量設定試験等が行われます。
よって、その結果次第となりますが、最近の傾向から考えれば同系統のお薬は同程度の血糖低下作用で認可を受けています。もっとも進んでいるアステラス社の商品では、0.88-1.14%低下しています。
(EASD 2012 ポスター番号739より)

 

Q.体重がやせるというのは本当ですか?

A.どうやら本当のようです。
同様にフェイズⅢでの報告を見れば、1.32~2.79kgの減量期待できると報告されています。
(EASD 2012 ポスター番号739より)

 

Q.いくらぐらいするのですか?

A.これは薬価収載というタイミングで決定されます。そのため現在は不明です。
しかし、過去の新規糖尿病薬の値段に類する価格設定がなされると容易に想像できますので、
1日200円(自己負担3割で60円、1割で20円)程度になるものと予想されます。

 

Q.副作用はありませんか?

A.現在、危惧されている副作用には膀胱炎(尿路感染症)と膀胱がんがあります。
膀胱炎の感染症については、確かにやや増えるようです。
膀胱がんについては現在検討中ですか、いまのところ大きな問題は報告されていません。(2013/4/23現在)

 

Q.新しい薬ですが、安全性は大丈夫か?

A.おそらく大丈夫です。
元々お薬ですので100%安心とはなりませんが、 通常の薬剤開発に則った適切な安全性の評価には合格しています。しかし、よりたくさんの患者さんに使われた後に副作用が見つかるケースもあります。
よって『おそらく大丈夫です』という表現が適切だと思います。

 


当院では、この新しいお薬も必要な方には積極的に処方したいと考えています。
御質問等あればお気軽にお声がけください。

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