糖尿病療養指導コース 第5回
合併症
細い血管に起こる3大合併症
し:神経症
神経そのものにダメージを与えます。
末梢(手先や足先)神経障害
足先の痺れや疼痛から始まり、徐々に感覚が失われます。
→足の壊疽や切断の危険があります。
自律神経障害
→不整脈、胃の動きが悪くなる、便秘、下痢、立ちくらみ、勃起障害、残尿感(神経因性膀胱)など
め:網膜症
目の奥のスクリーンが出血します。
単純網膜症・増殖前網膜症・増殖網膜症の3期からなり、
増殖網膜症に進行するまで自覚症状がないことが多いです。
→自覚症状がでたら、末期状態で失明につながります。
じ:腎症
腎臓の濾過機能が正常にはたらかず、むくみや体内の電解質異常による高血圧、骨粗鬆症となります。また、尿中に排泄される毒素が体に溜まってしまいます。
→病期が5期に分かれてあり、最終的には人工透析になります。
太い血管に起こる3大合併症
え : 壊疽
の : 脳疾患(脳梗塞)
き : 虚血性心疾患(心筋梗塞)
急性合併症
糖尿病昏睡
体内のインスリンが極度に欠如することにより、血液や細胞内のバランスが崩れ高血糖となり、脱水で昏睡(こんすい)状態になってしまいます。
感染症
高血糖になると白血球の働きが弱くなってしまいます。そのため、自己防御作用が低下し細菌に感染して感染症になりやすくなります。さらに、感染症になるとインスリンの働きをくい止めてしまうホルモンが分泌されるので、さらに高血糖が進んでします。よって、糖尿病と感染症が悪化していってしまうという悪循環になってしまいます。
かぜ、肺炎、気管支炎、結核、白癬症(水虫)、カンジダ症、膀胱炎、歯周病、虫歯などが起こりやすくなります。
どうやって予防していくの??
どの合併症に対しても、血糖管理をしていくことが大切です。
①末梢神経障害
▶ 毎日足をよく観察し、傷がないか赤くなっていないかなど確認しましょう。
▶ 足を清潔に保ちましょう。
▶ 足に合った靴選びを。(足は夕方にむくむため、靴は夕方に購入をお薦めします)
また、サンダルは傷を作りやすいので控えましょう(傷ができると、治りにくいため)
▶ 爪を正しく切りましょう
※自律神経症状が出現した場合は、医師に相談しましょう。
②網膜症
自覚症状がないことが多いため、定期的に眼科受診しましょう。
▶ 網膜症のない状態・・・1回/6~12か月
▶ 単純網膜症・・・・・・・・・1回/3~6か月
▶ 前増殖網膜症・・・・・・・1回/1~2か月
※網膜症がある方の急激な血圧管理は眼底出血のリスクがあり、注意が必要です。
③腎症
▶ 血糖と血圧のコントロールをしっかり行いましょう。
※基本的には、血圧125mmHg未満/75mmHg未満を目標にします。
(120mmHg/75mmHg 最近では合併症予防のためにもさらに低く設定されている事もあります)
▶ 初期は自覚症状がありません。(当院では採血結果と尿蛋白を基準にしています)
④心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症
動脈硬化によるものが多いため、血糖、血圧の管理、脂質異常症(高脂血症)の管理を行います。また、適度な運動を行うことや、ストレスの軽減も図ることも大切です。
アルコール、タバコは控えましょう。特にタバコは動脈硬化のハイリスク要因です。
⑤糖尿病昏睡
高血糖による脱水症状(のどが渇いて水をよく飲む、尿がよく出る)を自覚することが大切です。また、インスリンの中断・感染症・ストレス・他の病気の併発により起こることもあります。
そして、2型糖尿病でも清涼飲料水の飲みすぎでも起こることがあります。
⑥感染症
血糖コントロールをしっかりと行っていくことが大切です。血糖コントロールを行っていくことで、体の免疫システムがちゃんと働くようになり、抵抗力を貯めることができます。
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